2018年(平成30年)第103回薬剤師試験 理論問題【問151~問195】

一般問題(薬学理論問題)【薬理】

問151
筋細胞3に存在する異なった標的分子に働き、収縮又は弛緩に対して協力的に作用する薬物の組合せはどれか。2つ選べ。

1 膀胱平滑筋(排尿筋)細胞におけるアセチルコリンとベタネコール
2 眼の毛様体平滑筋細胞におけるトロピカミドとアトロピン
3 血管平滑筋細胞におけるニトログリセリンとシルデナフィル
4 心筋細胞におけるメトプロロールとベラパミル
5 子宮平滑筋細胞におけるジノプロストとリトドリン
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問152
交感神経系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 エフェドリンは、交感神経終末からノルアドレナリンを遊離させるほか、アドレナリン受容体を直接刺激する。
2 ミドドリンは、末梢血管平滑筋のアドレナリン α1 受容体を刺激することで血圧を上昇させる。
3 クロニジンは、中枢神経系のアドレナリン α2 受容体を遮断することで交感神経終末からのノルアドレナリン遊離を抑制する。
4 ミラベグロンは、膀胱平滑筋(排尿筋)のアドレナリン β3 受容体を遮断することで蓄尿機能を高める。
5 カルベジロールは、K⁺ チャネル開口作用とアドレナリン β3 受容体遮断作用によって、血圧を低下させる。
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問153
糖尿病治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ダパグリフロジンは、尿細管の Na⁺/グルコース共輸送体 2 (SGLT2)を阻害することで尿中へのグルコースの排泄を促進する。
2 ブホルミンは、AMP 依存性キナーゼ(AMPK)を抑制することで肝臓における糖新生を抑制する。
3 ミグリトールは、小腸粘膜に存在する α-グルコシダーゼを阻害することで糖の消化と吸収を遅延させ、食後高血糖を抑制する。
4 ナテグリニドは、アルドース還元酵素を阻害することで細胞内ソルビトールの蓄積を抑制し、末梢神経障害を改善する。
5 リナグリプチンは、膵 β 細胞上のグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体を直接刺激することでインスリン分泌を促進する。
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問154
統合失調症治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ハロペリドールは、黒質-線条体ドパミン神経系を介する過剰な神経伝達を抑制することで陽性症状を改善する。
2 クエチアピンは、セロトニン5-HT2A受容体、ヒスタミンH1受容体及びアドレナリンα1受容体を遮断する。
3 アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT1A受容体に対して部分刺激薬として作用する。
4 パリペリドンは、主に大脳皮質のセロトニン5-HT2A受容体を刺激することで陰性症状を改善する。
5 クロルプロマジンは、腹側被蓋野-側坐核ドパミン神経を介する過剰な神経伝達を抑制することで制吐作用を示す。
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問155
不整脈治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ソタロールは、アドレナリン β 受容体遮断作用を有しているが、K⁺チャネル遮断作用がないため、活動電位持続時間には影響を及ぼさない。
2 アミオダロンは、K⁺ チャネル遮断作用を有しているため、活動電位持続時間を延長させる。
3 ジソピラミドは、Na⁺チャネル遮断作用に加えて抗コリン作用を有しているため、副作用として口渇や排尿困難を起こす。
4 リドカインは、Na⁺チャネル遮断作用を有しているが、心室筋では不応期が短いため、効果は弱い。
5 ベプリジルは、Ca2⁺ チャネル遮断作用を有しているが、K⁺チャネル遮断作用がないため、QT 延長を起こしにくい。
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問156
本態性高血圧治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 アテノロールは、血管平滑筋細胞の Ca2⁺ チャネルを阻害することで血管平滑筋を弛緩させる。
2 ドキサゾシンは、交感神経終末からのノルアドレナリン遊離を抑制することで血管平滑筋を弛緩させる。
3 トリクロルメチアジドは、遠位尿細管の Na⁺-Cl⁻ 共輸送系を阻害することでNa⁺ の再吸収を抑制する。
4 テルミサルタンは、アンギオテンシンⅡによる副腎皮質球状層からのアルドステロン分泌を抑制することで利尿作用を示す。
5 アリスキレンは、集合管のアルドステロン受容体を遮断することで利尿作用を示す。
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問157
呼吸器系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 アンブロキソールは、ブロムヘキシンの活性代謝物であり、肺サーファクタントの分泌を抑制する。
2 カルボシステインは、気道粘液のムコタンパク質のジスルフィド結合を開裂させることで去痰作用を示す。
3 フルマゼニルは、肺伸展受容器を選択的に抑制することで鎮咳効果を示す。
4 ノスカピンは、延髄の咳中枢を抑制することで鎮咳作用を示すが、呼吸抑制作用はない。
5 テオフィリンは、ホスホジエステラーゼ阻害作用とアデノシン A1 受容体遮断作用により、気管支平滑筋を弛緩させる。
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問158
消化器に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 モサプリドは、副交感神経のセロトニン 5-HT4 受容体を刺激することでアセチルコリンの遊離を増大させ、胃排出を促進する。
2 スクラルファートは、壁細胞のヒスタミン H2 受容体を遮断することで胃酸分泌を抑制する。
3 ボノプラザンは、壁細胞の H⁺,K⁺-ATPase の SH 基と酸性環境で共有結合を形成することで胃酸分泌を抑制する。
4 カルメロースは、小腸粘膜上皮細胞の Cl⁻チャネル(ClC-2)を活性化することで腸管内への水分分泌を促進する。
5 メトクロプラミドは、副交感神経終末のドパミン D2 受容体を遮断し、ドパミンによるアセチルコリンの遊離抑制を解除することで胃運動を促進する。
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問159
播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 アンチトロンビンⅢは、ヘパリン存在下で血液凝固第 Xa 因子とトロンビンを阻害する。
2 トロンボモデュリン アルファは、トロンビン依存的に活性化プロテイン C の産生を促進する。
3 ダルテパリンは、アンチトロンビン非依存的に血液凝固第 Xa 因子を阻害する。
4 ダナパロイドは、血液凝固第 Xa 因子を阻害することなく、トロンビンを阻害する。
5 ナファモスタットは、プラスミンを阻害することなく、トロンビンを阻害する。
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問160
非ステロイド性抗炎症薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 アスピリンは、シクロオキシゲナーゼ(COX)のセリン残基をメチル化し、酵素活性を不可逆的に阻害する。
2 チアラミドは、COX-1 と COX-2 に対して強い阻害作用を示し、鎮痛作用や抗炎症作用を示す。
3 ロキソプロフェンは、プロドラッグであり、アスピリンと比較して消化管障害を起こしにくい。
4 インドメタシンは、プロスタグランジン E2 の産生を抑制することで炎症による体温上昇を抑制する。
5 ジクロフェナクは、COX をほとんど阻害することなく、鎮痛作用や抗炎症作用を示す。
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問161
抗菌薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 リンコマイシンは、DNA 依存性 RNA ポリメラーゼを阻害することで細菌のDNA 複製を阻害する。
2 スルファメトキサゾールは、パラアミノ安息香酸と競合的に拮抗することで葉酸の生合成を阻害する。
3 ノルフロキサシンは、DNA ジャイレースを阻害することで細菌の DNA 複製を抑制する。
4 セファゾリンは、ミコール酸の生合成を阻害することで結核菌に対して抗菌作用を示す。
5 リファンピシンは、リボソーム 50S サブユニットに結合し、ペプチジルトランスフェラーゼ活性を阻害することで細菌のタンパク質生合成を抑制する。
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問162
抗ウイルス薬の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 アマンタジンは、ノイラミニダーゼを阻害することでインフルエンザウイルスの感染細胞からの遊離を抑制する。
2 インジナビルは、HIV プロテアーゼを特異的に阻害することで HIV の増殖を抑制する。
3 ラルテグラビルは、インテグラーゼを阻害することで HIV の複製を抑制する。
4 ラミブジンは、CCR5 ケモカイン受容体を遮断することで HIV 感染を抑制する。
5 エンテカビルは、チミジンキナーゼによって活性型に変換され、ヘルペスウイルスの DNA ポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制する。
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問163
がんのホルモン療法薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 デガレリクスは、脳下垂体の性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)受容体を遮断することで黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの分泌を抑制する。
2 ゴセレリンは、乳がん細胞のエストロゲン受容体を遮断することでがん細胞の増殖を抑制する。
3 エンザルタミドは、前立腺がん細胞のアンドロゲン受容体を遮断することでがん細胞の増殖を抑制する。
4 アナストロゾールは、5α-還元酵素を阻害することでジヒドロテストステロンの産生を抑制する。
5 アビラテロンは、アロマターゼを阻害することでエストロゲンの産生を抑制する。
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問164
抗悪性腫瘍薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 パクリタキセルは、チューブリンの重合を阻害することで有糸分裂を抑制する。
2 ブレオマイシンは、活性酸素を発生させ、DNA 鎖を切断する。
3 ボルテゾミブは、プロテアソームを活性化することで転写因子 NF-KB の活性化を阻害する。
4 ラムシルマブは、VEGFR2(血管内皮増殖因子受容体2型)に対するモノクローナル抗体である。
5 カルボプラチンは、HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)に対するモノクローナル抗体である。
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問165
図は、カテコールアミンの生合成・代謝経路を示している。ただし、A~Eは化合物を、ア~エは酵素を示している。パーキンソン病治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

103回薬剤師試験問165
1 ベンセラジドは、エを阻害してEの生成を抑制し、シナプス間隙でのBの濃度を上昇させる。
2 セレギリンは、イを阻害して末梢でのBの生成を抑制する。
3 エンタカポンは、ウを阻害して末梢でのDの生成を抑制する。
4 ドロキシドパは、血液-脳関門を通過し、脳内でイによりCに変換される。
5 イストラデフィリンは、アの発現上昇を介してAの生成を促進する。
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一般問題(薬学理論問題)【薬剤】

問166
トランスポーターを介した薬物輸送に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 促進拡散型トランスポーターは、電気化学ポテンシャル差を駆動力とする。
2 ミカエリス定数に比べて低い基質濃度での輸送速度は、濃度によらず一定となる。
3 ペプチドトランスポーター PEPT1によるセファレキシン輸送の駆動力は、プロトン濃度勾配である。
4 有機アニオントランスポーター OAT1 によるメトトレキサート輸送は、ATPの加水分解エネルギーを駆動力として直接利用する。
5 P-糖タンパク質によるシクロスポリンの輸送は、二次性能動輸送である。
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問167
薬物の消化管吸収とバイオアベイラビリティに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 カルバペネム系抗生物質であるメロペネムは、小腸粘膜での透過性が高いため、経口製剤として用いられる。
2 陰イオン交換樹脂であるコレスチラミンは、酸性物質であるプラバスタチンを吸着し、その吸収を阻害する。
3 経口製剤の絶対的バイオアベイラビリティは、その製剤を経口投与した際の血中濃度時間曲線下面積(AUC)を、等量の同一薬物を静脈内投与した際の AUCで除したものに等しい。
4 小腸において、親水性薬物のみかけの吸収速度は、非撹拌水層の拡散速度に依存する。
5 小腸下部から吸収された薬物は、門脈を経ずに下大静脈に入るために、肝初回通過効果を受けない。
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問168
薬物の血漿タンパク結合、組織結合及び分布容積に関する記述のうち、誤っているのはどれか。2つ選べ。ただし、定常状態における血漿中非結合形薬物濃度と組織中非結合形薬物濃度は等しいものとする。

1 血漿タンパク結合の変動が分布容積に及ぼす影響は、組織結合性が大きい薬物ほど顕著である。
2 薬物の血漿中濃度に対する組織中濃度の比は、組織中非結合形分率に対する血漿中非結合形分率の比に等しい。
3 体重 1kg 当たりの分布容積が 0.6L の薬物は、血漿を含む細胞外液に主に分布する。
4 血漿タンパク結合率が著しく高く、組織結合は無視できるほど低い薬物の分布容積は、血漿容積に近似できる。
5 分布容積は、体内薬物量を組織中薬物濃度で除することで得られる。
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問169
Poor metabolizer(PM)において薬効が低下する薬物と代謝酵素の組合せとして正しいのはどれか。1つ選べ。

薬物代謝酵素
1チザニジンCYP1A2
2ワルファリンCYP2C9
3クロピドグレルCYP2C19
4イミプラミンCYP2D6
5イリノテカンUGT1A1

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問170
腎排泄に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 一般に、通常成人の腎血流量は 100~130 mL/min である。
2 糸球体ろ過は、加圧ろ過であり、毛細血管内圧がボーマン嚢内圧よりも高いために起こる。
3 サリチル酸は、尿がアルカリ性になると尿細管での再吸収が増加し、その腎クリアランスは小さくなる。
4 パラアミノ馬尿酸の腎クリアランスは、血漿中濃度の増加に伴って大きくなる。
5 尿細管において再吸収を受けない薬物の血中濃度が定常状態にある時、尿中の薬物濃度は血漿中の非結合形薬物濃度に比べて高くなる。
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問171
経口投与時において、薬物Aの体内動態に薬物Bの併用が及ぼす影響として正しいのはどれか。2つ選べ。

薬物A薬物B薬物Aの体内動態に及ぼす影響
1ノルフロキサシンスクラルファート水和物消化管吸収の低下
2イトラコナゾールオメプラゾール肝取り込みの阻害
3アセトアミノフェンメトクロプラミド尿細管分泌の阻害
4メルカプトプリン水和物フェブキソスタット代謝の阻害
5ピタバスタチンカルシウムシクロスポリン代謝の亢進

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問172
各グラフの実線は、肝でのみ消失する薬物を経口投与したときの血中濃度推移を表す。肝固有クリアランスが2倍に増加したときの血中濃度推移(破線)を表す最も適切なグラフはどれか。1つ選べ。ただし、この薬物の肝での消失は血流律速で、well-stirred model に基づくものとする。

103回薬剤師試験問172
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問173
ある薬物 100mg を被験者に急速静脈内投与した後に血中濃度及び尿中排泄量を測定したところ、未変化体の血中濃度時間曲線下面積(AUC)は 1.0 mg・h/L、代謝物の尿中総排泄量は 20 mg(未変化体換算量)であった。一方、この薬物200 mg を同一患者に経口投与したときの AUC は 0.8 mg・h/L であった。この薬物の体内動態の説明として誤っているのはどれか。1つ選べ。ただし、この薬物は肝代謝及び腎排泄でのみ消失し、代謝物は全て尿中に排泄されるものとする。また、体内動態は線形性を示し、肝血流速度は 80 L/h とする。

1 生物学的利用率は 40%である。
2 全身クリアランスは 100 L/h である。
3 静脈内投与後の未変化体の尿中排泄率は 80%である。
4 肝抽出率は 25%である。
5 経口投与された薬物のうち、門脈に移行する割合は 75%である。
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問174
固形製剤中における医薬品の分子集合体の性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 結晶多形間では、結晶構造は異なるが真密度は等しい。
2 医薬品の結晶形は変化せず結晶表面に水分が吸着したものを水和物という。
3 非晶質(アモルファス)状態の医薬品を高湿度下に保存したとき、水分の収着によって結晶化することがある。
4 シクロデキストリンによる包接化には、医薬品の安定性を改善する効果はない。
5 医薬品を分子状態で水溶性高分子に分散させた粉体から医薬品を溶出させるとき、医薬品のみかけの溶解度が過飽和を示すことがある。
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103回薬剤師試験問175
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問176
高分子の構造と性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 合成高分子は単量体の重合反応によって合成されるため、一般に分子量が均一である。
2 分子量が均一なあるタンパク質が溶媒中で会合することなく分散しているとき、その数平均分子量と質量平均分子量は等しい。
3 高分子の物性は、単量体が同じであれば、その分子鎖の長さによらず同一である。
4 良溶媒中の高分子は、分子が伸びた形状をとりやすくなるため、溶液の粘度は高くなる。
5 核酸が形成する二重らせん構造は、分子鎖内の水素結合によって形成されるため、二次構造に相当する。
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問177
図の固形製剤の製造工程に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

103回薬剤師試験問177
1 粉砕を行うと、主薬が分解することがある。
2 結合剤を粉末のまま用いると、水溶液で用いた場合に比べ、均質な造粒物が得られる。
3 混合①から乾燥までの操作を同一装置で連続的に行うには、流動層造粒機が適している。
4 滑沢剤の添加量が多いほど、整粒した粉体の流動性が高くなる。
5 図の原料の組合せと工程は、トローチ剤の製造に用いられる。
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問178
油相に水相を常温で撹拌しながら徐々に加え、o/w 型のクリーム剤を調製したい。調製している溶液の粘度変化を表すグラフとして最も適切なのはどれか。1つ選べ。

103回薬剤師試験問178
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問179
薬物とその効果等を向上させる目的及び目的を達成するために実用化されている薬物送達システム(DDS)の組合せとして、正しいのはどれか。2つ選べ。

103回薬剤師試験問179
1 アルプロスタジル 血液脳関門透過性の増大 高分子マトリックス
2 チモロールマレイン酸塩 有効血中濃度の持続化 リピッドマイクロスフェア
3 硝酸イソソルビド 有効血中濃度の持続化 経皮吸収治療システム
4 ドキソルビシン塩酸塩 がん病変部への薬物の集積 リポソーム
5 プロポフォール がん病変部への薬物の集積 抗体薬物複合体
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問180
医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)に関連する記述のう
ち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 製造設備に関する規則で、人為的な誤りは対象とされていない。
2 複数の医薬品の交叉汚染や、虫・異物などの混入を防ぐことが必要である。
3 あらかじめ決められた手順・条件で製造すれば、製造記録を管理することが免除される。
4 製造所ごとに医薬品製造管理者を定め、その下に製造部門と品質部門を置かなければならない。
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一般問題(薬学理論問題)【病態・薬物治療】

問181
浮腫に関する記述のうち、誤っているのはどれか。2つ選べ。

1 うっ血性心不全では、一般的に朝方に強く浮腫が認められる。
2 糸球体腎炎では、起床時に顔面、眼瞼に浮腫が認められる。
3 高齢者における腎性浮腫では、高アルブミン血症を呈する。
4 肝硬変では、低アルブミン血症により浮腫が起こる。
5 薬剤性浮腫の原因薬物として、非ステロイド性抗炎症薬がある。
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問182
65歳女性。脳血管疾患の既往無し。数年前より軽度認知障害があり、CT 検査で大脳皮質の萎縮が認められ、アルツハイマー病と診断された。下記の処方で服薬は正しくなされていた。最近、見当識障害や判断能力が悪化し、日常生活に介助が必要となることが多くなったため、心配した家族に同伴されて病院を受診した。本患者の今後の薬物治療方針として正しいのはどれか。2つ選べ。

103回薬剤師試験問182
1 ドネペジル塩酸塩の増量
2 リバスチグミンの併用
3 ガランタミン臭化水素酸塩の併用
4 メマンチン塩酸塩の併用
5 メチルフェニデート塩酸塩の併用
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問183
ネフローゼ症候群の病態と治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 低アルブミン血症が認められる。
2 食事療法は高タンパク食を基本とする。
3 浮腫の改善にはアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬が用いられる。
4 血液凝固能亢進の改善の第一選択薬として、アスピリンが用いられる。
5 ステロイド抵抗性を示す場合は、免疫抑制薬が併用される。
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問184
40歳女性。丸顔と中心性の肥満を伴った高血圧症と糖尿病の患者。二次性高血圧の精査のため受診したところ、早朝空腹時の血中 ACTH とコルチゾールの高値を認めた。そこで入院の上、就寝前に0.5mg のデキサメタゾンを内服して翌朝の血中コルチゾールを測定したところ 12ng/dLであった。 翌日、就寝前に8mg のデキサメタゾンを内服して、その翌朝に血中コルチゾールを測定すると3μg/dL であった。本症例の病態として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 クッシング病
2 異所性 ACTH 産生腫瘍
3 副腎腺腫
4 副腎癌
5 副腎皮質過形成
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問185
てんかんとその治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 脳に器質的な損傷があるために起こる症候性てんかんと、脳に明確な障害がなく原因が特定できない特発性てんかんがある。
2 単純部分発作は意識消失を起こす。
3 欠神発作は、身体の一部が瞬間的に強く収縮する発作で、意識障害を認める。
4 てんかんの診断には、脳波検査よりも CT や MRI などによる頭部画像検査が有用である。
5 原発性てんかん患者において抗てんかん薬を中止するには、 2年間以上の発作消失が必要である。
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問186
8歳男児。学校の授業中に先生の話を聞いていない。着席しても落ち着かず、離席もあり、集中できず、ミスが多く、忘れっぽい。休み時間に大声を出したり、動き回ったりし、順番を待つことができない。知能は正常であるが周囲の子ども達となじめず、親が心配して病院を受診させたところ、注意欠陥・多動性障害と診断
された。この疾患の病態及び薬物療法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 メチルフェニデート塩酸塩徐放錠が使用できる。
2 アトモキセチン塩酸塩は他の治療薬に比べて依存性が強い。
3 環境調節などの配慮の必要はない。
4 主症状には、不注意、多動性、衝動性の3つがある。
5 主症状は成人期以降に消失する。
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問187
じん麻疹及び薬疹に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 じん麻疹は、主に血管透過性亢進により生じる。
2 じん麻疹の症状の1つに、血管性浮腫がある。
3 じん麻疹の多くは、そう痒感を伴わない。
4 中毒性表皮壊死症の早期に発熱はみられない。
5 Stevens-Johnson 症候群の治療には、副腎皮質ステロイド薬の局所投与を行う。
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問188
全身性エリテマトーデス(SLE)に関する記述のうち、誤っているのはどれか。2つ選べ。

1 自己抗体により形成される免疫複合体が組織に沈着し、臓器に慢性の炎症を引き起こす。
2 特徴的な症状として両側頬部にわたる蝶形紅斑が認められる。
3 関節所見としては関節痛や関節炎が主体で、骨破壊はまれである。
4 40~50歳代の女性に好発する。
5 肝機能の悪化は SLE の予後を左右する最も重要な因子である。
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問189
76歳女性。長期入院中。ベッド接触面の皮膚に、圧迫しても消退しない限定的な発赤ができている。本患者に対する治療として提案すべきことはどれか。2つ選べ。

1 精製白糖・ポビドンヨードによる創面保護
2 積極的な体位変換
3 トリアゾラムの服用
4 湿潤を保つためのドレッシング剤の使用
5 栄養状態の改善
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問190
医薬品リスク管理計画(Risk Management Plan:RMP)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 RMP は、治験の第三相試験を開始するまでに策定しなければならない。
2 安全性検討事項は、重要な特定されたリスク、重要な潜在的リスク、重要な不足情報に分類される。
3 市販直後調査は、医薬品安全性監視計画に含まれる。
4 添付文書の作成や改訂は、リスク最小化計画には含まれない。
5 バイオ後続品については、RMP を策定しなくてもよい。
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問191
抗不整脈薬投与患者で低血糖の症例をしばしば経験した薬剤師が、自施設の患者における抗不整脈薬の服用と低血糖の発症との関連性を調査した。低血糖発症患者(n = 90)と、年齢及び性別でマッチングした低血糖非発症患者(n = 450)を選択して、過去1年間のカルテを調査した。対象患者における抗不整脈薬A、B、Cの処方の有無を調査した結果を表に示す。次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

103回薬剤師試験問191
1 この調査はコホート研究に分類される。
2 この調査は介入研究に分類される。
3 A非服用者を対照とした場合、A服用者の低血糖発症のオッズ比は1である。
4 低血糖の発症リスクはB非服用者より、B服用者の方が高い。
5 低血糖の発症リスクはCの方が他の2剤に比べて高い。
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問192−193
医師から「 2 型糖尿病患者に脂質異常症治療薬Aを投与した際の、動脈硬化性疾患に対する予防効果(心血管疾患予防)について教えてほしい」と問合せがあった。薬剤師が文献調査をした結果、動脈硬化性疾患の既往歴がない 2 型糖尿病患者(40~75 歳)を、「A投与群」又は「A非投与群」の 2 群に無作為に割付し、心血
管死、脳血管障害、急性冠症候群などの動脈硬化性の心血管イベントの発症率を比較した論文を得ることができた。平均追跡期間は 5 年で、図に示した結果が得られている。
103回薬剤師試験問192

問192
得られた論文の批判的吟味に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 「情報の批判的吟味」は EBM 実践のプロセスの最初のステップである。
2 臨床研究の手法が正しかったのか、得られた結果が信用できるのかといった研究成果の正確度や再現性について、外的妥当性を評価する。
3 この図の評価項目は、真のエンドポイントを用いていると考えられる。
4 この図から、ハザード比の 95%信頼区間が 1 を挟んでいないこと及び p 値から、両群間に統計学的に有意な差が見出されたといえる。
5 この図から、A投与群はA非投与群に比べ心血管イベントの発症リスクを 81%減少させたと判断できる。
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問193
前問のデータ解析方法に関する文中の[ ]に入る適切な語句はどれか。1つ選べ。
103回薬剤師試験問193
1 ログランク検定
2 Kruskal-Wallis 検定
3 Cox 回帰分析
4 ロジスティック回帰分析
5 重回帰分析
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問194
薬物代謝酵素の遺伝子多型に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 CYP2C19の poor metabolizer(PM)では、オメプラゾール併用のピロリ菌除菌療法の効果が減弱する。
2 CYP2D6 の extensive metabolizer(EM)では、コデインの鎮痛効果が減弱する。
3 CYP2C9 の PM では、フェニトインによる中枢毒性発現のリスクが増大する。
4 N-アセチル転移酵素2(NAT2)の slow acetylator(SA)では、イソニアジドによる副作用のリスクが増大する。
5 CYP2C19の PM の頻度は欧米人では 5 ~10%であるが、日本人では約 1 %である。
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問195
薬物の乳汁移行に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 母乳 pH は血漿 pH よりも高値であるため、塩基性薬物は母乳中に移行しやすい。
2 相対的乳児摂取量は、薬物の乳汁中濃度と母体血漿中濃度の比に 100 を乗じて算出する。
3 乳汁/血漿中薬物濃度比(M:P 比)に影響を及ぼす要因として、薬物の脂溶性、分子量、タンパク結合率、pKa がある。
4 ブロモクリプチンは、母乳中への移行が多い。
5 炭酸リチウムは、母乳中へ移行するが、服薬と授乳のタイミングを工夫することで、授乳婦への投与は可能である。
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第103回薬剤師国家試験問題

103回薬剤師国家試験【必修問題】問1~問90
103回薬剤師国家試験【理論問題】問91~問150
103回薬剤師国家試験【理論問題】問151~問195
103回薬剤師国家試験【理論問題】問196~問245
103回薬剤師国家試験【理論問題】問246~問285
103回薬剤師国家試験【理論問題】問286~問345

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